お知らせとレポート

東京都品川区の小学4年生にそらべあ環境教室を実施しました

2月14日(金)、そらべあ基金は東京都品川区立の小学校にて、そらべあ環境教室「地球温暖化と再生可能エネルギーについて学ぼう!」 を実施しました。

そらべあ基金は数年前から港区立の小学校で環境教室を行なっていたご縁から、今回は品川区立の小学校にご要望をいただき、「市民科(しみんか)」の授業2コマを活用して4年生3クラス約90名の子どもたちと一緒に出前授業を行いました。同区は、小学校から中学校までの9年間をつなげて、これまでの道徳、特別活動(学級活動)、総合的な学習などの理念を大切にしながら、より実学的な内容を盛り込む「市民科」という新しい学習に統合しその実践をはじめています。今回は市民科の流れにそったプログラムを授業用に再検討しワークショップを行ないました。

 

まず3時限目は、校内のホールを活用し4年生全員に集まってもらいました。そらべあ基金といえば、なんといってもホッキョクグマの「そら」と「べあ」。「今日はスペシャルゲストにそらべあ兄弟の兄「べあ」くんが来ています!」と声をかけると子どもたちから大きな歓声があがり、明るい雰囲気で授業を始めることが出来ました。ホッキョクグマの「そらべあ」の物語を動画で上映した後、北極の氷がとけて変わりゆく様子を写真で見比べたり、気候変動の影響によって世界や日本で起こっている自然災害の様子を写真で見てもらいました。

 

「みんなー、北極がたいへんなんだよ」(べあ)

 

今回の授業に向けて事務局では、「地球温暖化」という大人にも難しい話を、少しでも子どもたちに分かりやすく伝え、主体的に学ぶにはどのようにすればよいかな?とアイデア会議を重ねました。温暖化の要因と私たちの生活様式が深く関わっていることを知ってもらうため、生活に使う身近な道具や乗り物のイラストをのせたプリントを3人1組ごとに配り、「使うときに電気・石油・ガスが必要なもの」を選んで丸をつける、というグループワークを盛り込みました。「制限時間3分!よーいスタート!」の掛け声で一斉にスタート。「これはどう?これはどうかな?」と身近な生活体験を思い浮かべながら語り合う声がザワザワと聞こえはじめます。みんなの生活にかかせないあれこれが、実はたくさんのエネルギーを使用していることに気づいてもらいました。丸つけが終了したグループは手をあげてもらい「はい!正解」「まだ、あるよー」と声をかけ、子どもたちも積極的に参加してくれました。

 

「これ、そうじゃない?」自然に会話がうまれます

 

そして、私たちの暮らしにエネルギーが欠かせない一方で、世界や日本で起きている気候変動や地球温暖化の仕組みをイラストで説明しました。その問題に対する解決方法の1つに、太陽・風・水力などの自然の特性を活用した様々な再生可能エネルギーについて、また、それらは化石燃料のような有限なものではなく、持続可能であることなどを紹介しました。

世界の巨大な風力発電写真をいくつか紹介した後、アフリカのマラウイ出身の14歳の少年、ウィリアム君の実話が映画化されたお話『風をつかまえた少年』を紹介しました。マラウイは、アフリカのなかでも非常に貧しい国で2001年には大干ばつによる大飢饉に見舞われました。厳しい環境のなか、お金がないため学校にも通えなくなった彼は、独学で壊れた自転車や廃材を活用し家族のために風力発電をつくりあげます。子どもたちは関心を寄せて聞いてくれていました。

社会科でごみの学習をし、夏休みには家庭の「エコチャレンジ」を行うなど、環境学習を行ってきた4年生たちは、その成果もあり電気や水、エネルギーの無駄遣いをやめることや移動方法を工夫するなどの意識も高いようでした。最後に2020年10才の4年生のみんなが10年後20才になる2030年に向け、世界で進めている持続可能な開発目標「SDGs」についても少し触れて3時限目の話を終えました。

 

世界を変えるための17目標がSDGsシールに。

 

次の4時限目は、各教室にわかれて再生可能エネルギーの1つ「太陽の光」で灯りがつくソーラーLEDランプをつくりました。カラフルな色やそらべあのイラストのマスキングテープをつかい、楽しそうにデコレーションした素敵なランプが出来上がりました。市民科は、学校だけでなく、家庭、地域での実践と活用も目指しています。出来上がったソーラーLEDランプをきっかけに、今日学んだ地球で起こっている事や、自然エネルギーについて、家族の人とお話してみてね、と子どもたちにお願いしました。

 

カラフルなマスキングテープをつかってオリジナルランプを制作

 

完成したランプが明るく光る様子

 

最後に、今回のまとめとして「振り返りシート」に個人やグループでの振り返りを記入、発表してもらいました。その一部をご紹介します。

質問 「そらべあ環境教室でわかったことはどんなことですか?」
・地球温暖化のせいでシロクマたちが困っている
・自分のまわりにあるものは電気を使っているものがたくさんある
・みんなで力を合わせれば地球温暖化は防げるかもしれないことがわかった
・SDGsという目標を大事にしていかないといけない

質問「10年後の未来、みんなが20才のとき、地球がどうなっていたら良いでしょう?」
・CO2が少なくそらべあもお母さんと会えて幸せになっている
・人間だけじゃなくて、動物も困らない世界(になっている)

質問「そのために、わたしたちにできることはなんでしょう?」
・SDGsなど新しいことに(ウィリアムくんみたいに)取り組みたい
・テレビは見ないときは消す、シャワーをこまめに止める、せんたくを一回で済ませる
・プラスチックを減らすためにマイバックをもつ
・ボランティア活動する

みんな、どうもありがとう!一緒に頑張ろうね!

学校からの出前授業後アンケート
質問「 ”そらべあ環境教室”の内容は子どもたちの学習に役立ちましたか? 」

・現在の地球環境の状況が分かりやすかった。
・それに対する課題と子どもたちレベルでの対策が具体的に提案されていて良かった。
・さらに自分たちで出来ることを考えたりチャレンジしていこうという意識が高まった。

 

今回のそらべあ環境教室は株式会社東急ハンズ様の継続的なご寄付により実施することができました。当日もご参加いただき大変ありがとうございました。

また、同じ品川区内のシール堂印刷様より、そらべあの生みの親「Shinzi Katoh Design」のそらべあなどのマスキングテープ、バナナペーパーのフェアトレード用紙でつくられたSDGsシールをご提供いただき子どもたち全員に配布することができました。ありがとうございました。

そして、都内と横浜市の全小学校へ環境情報紙「エコチル」を配布されている株式会社アドバコム様より再生可能エネルギー特集の東京版1月号「自然の力を活かした“再生可能エネルギー”を知ろう!」をご提供いただき、こちらも子どもたち全員に配布することができました。再生可能エネルギーの知識を自宅でもさらに深めてもらうことが出来たと思います。

「そらべあ環境教室」に参加してくれた4年生の皆さん、先生方、保護者様、お手伝いいただいたそらべあスタッフの皆さん、ありがとうございました。